木のおもちゃ KONOHA
Product design
「このプロダクトのはじまりは大学時代の授業からでした。」
大学1年生の時の授業でした。
木でおもちゃを作るという授業。
私が通っていた大学では木や漆、金属工芸などを専攻する学生と同じ授業を受講することができます。
専攻の垣根がないことがウリのひとつです。
今となってはプロダクトと建築、異分野だとしても「デザインをする」ということに関して共通項が多いということがわかっていますが、
まだ建築デザインの「け」の字も知らない時期にコンセプトを立ててプロダクトをデザインするということが非常に難しく感じていました。
そんな不慣れな中、私はおもちゃである前に木製品について日ごろどのように考えているか自分を掘り下げてみました。
私は以前よりおもちゃに限らず日常の中にある木製品が
「何の木から出来ているか」
「それがどのような木なのか」
全く知りませんでした。
そこで木(木製品)について何か学ぶキッカケとなるようなおもちゃがあれば面白いのではないかと考えました。
再三のダメ出しを食らいながらひとつのコンセプトが出来上がりました。
「そうだ!葉の形と木の素材を対応させてみよう」
「ナラの木」で「ナラの葉の形」を作り上げ、
「ブナの木」で「ブナの葉の形」を作る。
素材から葉を感じ、葉から素材を感じる。
決して子供むけとは言えませんがそのような製品ができると面白いのではないかと考えました。
「単体ではおもちゃ足りえないのでボックス型のパズルにしてはどうだろうか?」
そう考え完成したおもちゃの写真がこちらです。
※写真はあまりに不慣れだったため、大学の友人の石黒君に協力してもらって撮影しました。
考え方は面白いだろうという自負はありましたが、いかんせん葉の向きを縦にすれば簡単に中に入ってしまい、パズルとしてのゲーム性が弱かった点が反省点として挙がりました。
またボックスの小口が見えてしまう加工ももう少し工夫が必要でしたね。
そして大学院を修了し、就職したころに何を思い立ったかこのおもちゃをブラッシュアップしてみようと考えました。
そこでひらめきます。
「前回の反省点を活かして今回はブック型パズルにしよう。」
そうすればピースの入れる向きはおのずと決まるし、葉の標本のように一度にピースの素材や違いを認識できるはずです。
※写真は図鑑を見ながら書いた葉の形の下書きです。左右対称にするため、半分だけ書いています。
また開くというギミックがわくわく感を演出できてとても面白い。
またピースがはまるページ部分は閉じたときにブック感が強まるように積層のシナベニヤを採用しました。
近くの木工屋さんと木製のまま、いかにこのギミックが作れるかモックアップを作りながら検証していきました。
「こんな難しい木工品は作ったことない(汗)」
そんなことまで言われてしまいましたが根気よく粘ってもらい試行錯誤の末、ついに完成しました。
異素材を大量に使った上にギミックの加工がずいぶん難しく、モックアップを何度も作ったために、かなりのコストがかかってしまい財布へのダメージはかなり大きかったです。(笑)
実際なかなか映えるものになって満足しましたが、
もう少し素材数を増やすなどをすれば発展系は作れそうだなと確信しました。
果てしない道のりですが一旦これを完成品として思い立った時にまた作ろうと思います。